低周波とはどのようなものなのか、教えていただいた知識をまとめました。
【風車の構造と音の関係について】
風車は場所打ち工(*脚注)という工法で支えられている。杭に支えられたコンクリート部分を基台という。基台からタワーを支えるが、中に階段が付いている。
上の部分にナセルと呼ばれる箱が載る。この箱の中に風車の回転速度を速めるための増速機が入っている。メーカーによっては増速機につないで変電機が入っているものもある。ベスタスの場合は上に入っている。ハブに3本のブレード(羽根)をボルトで固定している。
ハブ高の風速で騒音の聞こえ方が違ってくる。
【音の種類】
騒音というのは私達の耳に不快を感じさせる音。
聴覚がもっとも敏感な周波数範囲は3000-4000Hz。一番聴覚に良く届く。
聴覚に適合的な音の周波数範囲は500-8000Hz。
それ以上、それ以下の周波数の音になると聴覚への親和性に欠けるようになる。
非常に敏感な若い人が聞き取れる音の範囲は20Hz-20000Hzと言われる。
音と言うのは聴覚との関係で考えないといけないので非常に難しいが、風車が建つと色々な周波数の音を出すがあまり高い周波数の音は出さない。
【風車の構造とその音】
基本的に音はどこから出るかと言うと、いちばん聴覚的に捉えられるのはナセルから出る。
ナセルの中の増速機、発電機の回転、変圧器からのブーンという音。
もうひとつは回転するときに空気を切るが、その風切り音。この音の性質は私達の耳に聞き取りにくい、超低周波・低周波音というもの。低周波音は聞こえるのだが聞き取りにくい音、または身体に感じる音。超低周波音は全く聴こえないとされる。
1970年ごろから、冷蔵庫、エアコンの室外機、工場の機械音など、10Hz-40Hzくらいの周波数の低周波音が様々な形で害を及ぼすことがわかってきた。
電流がどのように生成されるか
【超低周波(圧力変動波=空気振動)とその影響】
風車で一番大変なのは、ブレードが回転するときに空気を切る(1秒間に1回転くらい、先端は200km/hを超えると思う)が、そのときに出る圧力変動波(空気振動)。これは耳に全く聞こえない音。それを超低周波(インフラサウンズ)と言う。これが非常に遠くまで届く。これによって体の中の組織が異常を起こすことがある。一昨年、愛知県の田原市と豊橋市にエムアンドディーグリーンが1基ずつ建てた。できた翌日に稼動をはじめ、そのとたん被害者が出た。結局近隣で26名の超低周波による被害。やはり一昨年、東伊豆でCEFという会社が11月末に10基を立て、12月に試運転を始めたが、10基全部動いたことはまだない。大体5基くらい。やはり29名くらいの被害を出した。それは肩こり、めまい、ふらつき、血圧の上昇など、自律神経失調 症といわれるような症状が多い。大体風車が回り始めてすぐに症状が起きる。リタイアされた方が多い別荘地で、お年寄りが多い。稼動してからたかだか3ヶ月で入院した方が4名。これは東伊豆の例。風車から350-700mくらい離れているが、もろに超低周波音が降ってくる
質問)愛知の26名の方は風車から700mくらいのところに住んでいるのか。→もっと距離はあります。3000m。
【共振周波数】
質問)報道ステーションで、羽根からの圧力で、家の中の障子などが動いていたりしたが、それは何メートルくらいで起こるのか。→なんとも言えないが、壁でもガラスでも体でもそれぞれ共振周波数というものがある。あるレベルの周波数のエネルギーに対して共振してしまう。それによってがたつく。それは20Hz以下の超低周波で起こる。
質問)風車という構造体自体に振動があるが、地中を通過していくということはないのか→地盤振動に関係あるとはあまり言われていない。
なぜ我々は地熱エネルギーを必要としない
インターネットでカナダの風車周辺でこうもりが山ほど死んでいた件をみつけた。バードストライクで落ちている鳥は怪我を負っているのに、風車の周りで死んでいるこうもりは怪我が無いものが多い。カルガリー大学のチームがそれに注目し、研究者13人でこれを調べた。188匹を解剖にかけた結果、全て肺の中の血管破裂で死亡したという。超低周波がぐっと高まった瞬間に圧力が急激に低下し、肺が膨張して血管が破裂したと報告されている。
この振動は体内の細胞によってすべて違う。今EPI細胞といって何にでもなる細胞が見つかり、話題になっているが、普通それぞれの細胞ごとに共振周波数を持っている。
超低周波を受けると体内に入ってきた圧力振動波を受けて振動する。臓器を何とか保護しなければいけないという機能が働いて、細胞と細胞の間にそれを保護するための物質(エラスチンとコラーゲン)を集めてこれを厚くして臓器を保護する体内作用が起きる。しかしこれを一定期間繰り返すと元に戻らなくなり、最終的には細胞のがん化や遺伝子の異常を引き起こすという研究がポルトガルの研究者によって発表されている。
【風車の羽が出すエネルギーについて】
風車から出る音のエネルギーの大きさと言うのは、ブレードの長さ(ローター)の直径が大きくなればなるほど増す。南伊豆で作られる風車は中心からブレード先端までが40m。それにハブの部分が加わるので直径としては80m以上になる
時の化石燃料が尽きるのだろうか?
熱川天目ではブレードの長さが37.5m。南伊豆に比べて少し小さいので南伊豆のほうがエネルギーとしては大きい。それがどの辺まで影響するのか。風車から700m圏内は危険度が高い。むしろ風車の真下のほうが安全。1000mまでは危険。1500mでも危険はなくならない。専門用語では半自由空間と言うが、ナセルから出る音と言うのは下にも来ているが、それには耐えられる。回転から出るエネルギーを考えると下のほうが安全。事例を調べると、日本では愛知県で3000m離れたところで被害が出ている。アメリカでは3200m。イギリスでは1600m。要するに地形等にも関係するが、非常に遠くまでエネルギーが伝播していく。南伊豆の場合、仲木、大瀬、下流は安全� ��はない。それからもうひとつ夜間、気温が下がると音は下へ落ちてくる。上昇気流が発生しないから。谷あいへ向かって音が伝わって行く。音は反対側に山を背負っていると反射する。その先に小高い場所があるとまた反射し、音が溜まってしまう場所が出てくる。
質問)羽根の長さがあるから内側に行くほど速さが少なくなるから周波数にばらつきが出るのではないか。
→それにはブレードの形状がある。ハブに取り付ける部分は補強のため円形になっている。ハブから先端にかけては扁平になっていく。真ん中辺りで一旦膨らんで先端で細くなる。形状と回転数、速さに応じて周波数が変わってくる。中心は羽根の先端に比べて回転数が少ない。一番超低周波を生むと思われるのは先端のもっとも回転速度がある部分。ただ先端に来るとブレードの幅が狭くなるのでそれがどう作用するかはちょっとわからない。
質問)超低周波は、デシベルにしてどのくらいのものが出ているのか。→これは測定器で測定していて、距離としてどの辺で測定したかはわからないが、おそらく250-350mで、高い部分で約40db-70db。
【野生動物への影響について】
三重県の例では風車近辺では野鳥の種類、個体数共に激減した。周囲1キロくらいにいなくなってしまう。したがって鹿やイノシシにも当然影響があると思われる。例えば乳牛の搾乳量が減ったという報告が愛知県である。したがって野生動物にも非常に大きな影響を与え、それが逃げて人間の生活圏に入ってくると摩擦が起きる。
農業被害も当然考えられる。愛知県の例では海の中に超低周波が入ってきて、浅瀬のボラやキスがいなくなってしまった。また海がめの産卵が無くなった。
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これらの様々な点を問題視し、環境省、国会などへ陳情を上げているが、ある程度の回答を得つつある。非常に近くである程度聴覚的なレベルで音が測定され、夜間の騒音規制値を超えるレベルになれば、訴えれば夜間停止に持っていける可能性がある。下記政府回答。
「騒音を防止することにより住民の生活環境を保全する必要がある地域として同法(騒音規正法)第3条第1項の規定に基づき都道府県知事等が規定した地域内に属され発生する騒音が同法第4条の規定に� �づき、都道府県知事等が定める時間、及び区域の区分ごとの規制基準に適合しなければならない。」
通常の騒音規制であればデシベルでの測定。回転数を抑える、夜間の稼動停止という規制が可能になる。また南伊豆に関連して他のいろいろな問題、例えば不法に杭を打ち込んだ、あるいは住民にきちんと説明せずに町長が勝手に判子を押して事業を始めたなどの問題についても陳情を上げてある。
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*場所打ち工:一般的にあらゆる方向からも吹いてくる風などからうける水平方向の力(水平力)に風車が耐えるように、基礎の土台は6~8角形(円形が望ましい。)に造られていています。場所打ち工では、その角数の杭が必要になります。深さも20m位とのことです。そのほかにもPC杭(Prestressed concrete)を打ち込む基礎工法があるとのことです。これは事前に、水平力への耐力を強めるためにストレスをかけたコンクリートの杭を使用するそうです。この工法では30~50cm前後の径の杭を30本程度を基礎の土台部分の外側近くに、円形にジーゼルハンマーで打ち込み、この上にフーチング鉄筋を組み立てます。この鉄筋は基台部分に直結していて、そこにコンクリートを打設すれば、土台と基台が一体の土台になります。今年から始められている三筋山東電・ユーラスの工事では、場所打ち工法を採用、杭の深さは20mとされています。(基礎のことは知人の基礎の専門家から教えていただいたものです。)
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