2012年4月7日土曜日

なぜメタノールなのか?


なぜメタノールなのか?


フローライフの本質 〜土地が足りない〜
食料も燃料もバイオマスに期待がかかる
エタノールは「土地浪費システム」


詳しくは


Amazon.co.jpにて、『新説・石油がなくなる日』に対し、「 カリブの海賊」さんより、以下のレビューを頂いています。
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石油がなくなることを書いた本というより、石油からバイオマスエネルギーへのシフトを提言している。バナナ廃棄物などから、バイオメタノールを作り、石油に代替する提案。考え方は面白い。なお、私はメタノールではなく、エタノールの方が可能性があると個人的に感じているがどうだろうか。
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このレビューにたいする答えですが、残念ながら、〜土地が足りない〜 ということです。

エタノールは古典的な身近な生化学的反応(アルコール発酵)で生産でき、小規模でも対応可能なことから、可能性うんぬんの話がおそらく出てくるのだろうと想像しま� ��が・・・。


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フローライフの本質は、太陽エネルギーで生活のすべてをまかなうということです。つまり、食料もエネルギーも、その太陽光を受光する「土地」から生み出さねばなりません。

ブラジルで、サトウキビからエタノール生産急増中
・・・砂糖が値上がりして日本の製菓業界で悲鳴上がる(今年)

米国で、トウモロコシからエタノール生産急増中
・・・輸入飼料穀物が値上がりして日本の畜産・酪農家から悲鳴上がる(近いうち、数年先??)

バイオ燃料ブームが食料不足を呼び込む可能性が高いことは、マスコミ等の報道により、周知の事実として理解されてきました。希薄な太陽光を受光するには 広大な面積が必要で、エネルギー変換効率は太陽電池が約10%に対し、バイオマス(植物体)の光合成はわずかに1%しかありません。

フローライフの本質は、いかに、「太陽光を受光する土地」を確保できるかです。残念ながら、日本は、日本人一億人超に対し、3800万haしかありません。しかも大半が、複雑急峻な山林です。2000年の長い歴史の中で、平坦地はことごとく農地に開墾されてきました。エネルギー作物の栽培は、定期的に、種蒔き(もしくは植え付け)、収穫を繰り返すわけですから、機械を寄せつけない複雑急峻な山林では行いようがありません。建築材のように数十年〜百年に一度の伐採というサイクルが、林務班の方々の過酷な労働により成立しています。欧米からの輸入材が格段に安いのは、過酷な労� �ではなく、平坦地森林であるがゆえに、その導入された機械が人間に代わって効率的に木材の伐採・収穫を行っていて、人件費が安くつくからです。


フライングプローブテストは何であるかを定義

そして、農地は、日本の食糧自給率40%の現実が示すとおり、エネルギー栽培する余地はありません。このHPで何度も繰り返すようですが、休耕田を利用した、菜の花油の燃料車を走らせる、「菜の花プロジェクト」は、観光資源(黄色の菜の花が美しい)や過疎対策がメーンであって、21世紀のエネルギー危機には何の解決策にもなり得ません。つまり、今後日本がじり貧になっていくことを避けるためには海外からバイオ燃料を輸入する方法を模索せねばならないわけです。

バイオマスを固体のまま海上を長距離輸入するのは、水と空気を運ぶようなもので効率が悪いのです(含水率が高い=重い、空隙率高い=かさばる)。そ� �で、液体燃料化が考えられるわけですが、大まかに、エタノール、エステル化(バイオディーゼル)、メタノールの3つに分けられます。結論は以下の表にまとめた通りです。もし、世界中に農耕地が有り余っているのならば、メタノールの出番はなかったかもしれませんが、現実には、農地は足りません。米国の農地は、自国用の農産物と自動車燃料をつくるので精一杯です。同盟国だから、日本にだけは特別に融通してもらえるんでしょうか?ブラジルは、サトウキビ栽培のために、天然熱帯林が減少していくことが懸念されています。熱帯の途上国の多くは、今後も人口増加により食料不足で苦しむことでしょう。


どのように電気モーターを構築する

「新説・石油がなくなる日」で提案するGBMは、炭素の起源を熱帯農業の廃材バイオマスに求め、水素の起源を沙漠の自然エネルギー発電に求めます。世界の沙漠の面積は広大で、土地の面積制約とは無縁です。エタノールよりも面積あたりのエネルギー収率に優れる単独バイオマス起源のメタノールよりは、その栽培必要面積がさらに半減します。もしも、今後日本がブラジルから大量にエタノールを輸入することになれば、東南アジアで起きた悲劇(日本へ建築材を輸出するために天然熱帯林が激減した)を、南米でも繰り返すことにはなりませんか?ブラジルの近くにはアタカマ沙漠やパタゴニアがあって風力発電の適地です。


生産方法 原料 単位面積あたりの生産性 長所 短所
バイオディーゼル
1)
油の抽出
エステル化
油植物の子実 3.5ton-植物油/ha/y 技術確立
小規模可能
食料との競合
土地の浪費
エタノール
2)
微生物の働き
アルコール発酵
糖植物の子実
穀物
(*)
10.
4TOE/ha/y
技術確立
小規模可能
食料との競合
土地の浪費
メタノール
3)
化学工業
大規模
あらゆるバイオマスが対象 15TOE/ha/y 土地の節約 大量の原料収集が困難
GBM 化学工業
大規模
あらゆるバイオマス

沙漠の自然エネルギー由来の水素
30TOE/ha/y 土地の大幅な節約 大量の原料収集が困難
非常に高価
エネルギー収支(EPR)が低い


1)マレーシア、パームやしの実績、種実を圧搾し油を絞る。EUにおけるアブラナやひまわりの実績はさらにもっと低い。
2)ハワイ、サトウキビの搾り汁のみが原材料。絞りかすのバガスは燃料にはなるが地球規模の輸送を想定した液体燃料にはならない。
(*)木材や建築廃材等を糖化することで原材料の候補を拡大しようとする試みが始まっているが、商業ベースに乗っているものは現状ない。
3)ハワイ、サトウキビの子実、葉、茎のすべてが原材料になる

TOE=石油換算トン

参考:バイオマスが拓く21世紀エネルギー、坂井正康、森北出版

2006年10月記


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