上の写真をご覧ください。1本の大木に造られた、巨大で精巧なツリーハウス。各々の部屋には灯がともり、まるで誰かが暮らしているかのような匂いすら感じられます。でもね、実はこれ、ツリーハウスではありません。なんと盆栽なのです!
これからご紹介するのは、クラフト紙・プラスチック・石膏・アクリル樹脂などに塗装を施したミニチュア模型と盆栽を組み合わせた、世界で唯一無二の盆栽アート。
何が空気を構成している?
このあまりにも繊細で、あまりにもドラマチックな作品を作り上げたのは、迷路作家・空間プロデューサー・アートディレクターなど様々な肩書を持つ、日本人アーティストの相羽高徳さんです。
従来の盆栽に対する固定概念を覆すまったく新しい形の盆栽アートは、一体どのようにして生まれたのでしょう。作者である相羽さんにお話を伺ってまいりました。
「私の作品には、幼少の頃の原体験が色濃く影響しております。盆栽作り、鉄道模型作り、そしてウォルト・ディズニー。近所の裏庭で楓の小枝を見つけては拾ってきて、空き缶にさし、一日中それを眺めていると、自らが小人になったかのような錯覚を覚えました。自分のイマジネーションを広げ、表現する術は幼少の頃から始まっていたのかもしれません」
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遊びを通して「自分だけの小宇宙」を作り出す楽しさを覚え、その中で遊ぶことの幸せを多くの人と共有したいと願った相羽さん。彼のクリエイティビティーの全てはこの幼少の頃の原体験にあるといっても過言ではないようです。
相羽さんの作品には、それぞれテーマが掲げられています。
例えば水石をモチーフにした作品『The Rock Island』や『Lighthouse A,B』は岩島のリゾート、アンティークなパイナップル缶をモチーフにした『Hawaiian Pineapple Resort』は新しいハワイのリゾートを、イメージしているのだとか。
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「木・岩・缶・フィギュア・アイスクリームの箱といった特定のオブジェから連想されるリゾートのキーワードを抽出し、頭の中でそのキーワードを一度ミックスする。その後盆景の手法を用いて、新たな世界観をもったリゾート地を生み出す。私の作品にはこのような考えが根底に流れています」と相羽さん。
細部までとことんこだわった盆栽アートをひとつ完成させるまでには、早いもので3カ月、長いものでは1年もかかるのだそう。気が遠くなるような作業ですが、相羽さん曰く「頭の中にあるイメージを具現化する為には最大限の努力は惜しまない」のだとか。
「小さな空間に勇壮な自然の息吹きを吹き込む日本の伝統的美意識が反映された盆栽は、私のイマジネーション、世界観、ストーリー性を表現するのに最も適した題材です」
盆栽が持つ「敷居が高い」「若者には無縁」といったイメージを鮮やかに飛び越えた、相羽さんの作品。それでは皆様。世界が驚きと賞賛の声をあげ、アートの可能性を確実に広げたであろう見事な盆栽アートをじっくりとご堪能くださいませ。
寄稿:Pouch
参照元:tokyogoodidea.com
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