2012年5月6日日曜日

知財翻訳スクール By QOL Lounge - ブログ


<エッセンス有機化学>(連載その12)

[参考書Aの関連頁:第4頁]

[参考書Bの関連頁:第1984~203頁]

[参考書Cの関連頁:第44~48頁、第118~126頁]

                          
(1)このシリーズでは、現在、「アルコール」(alcohol)から、種々の化学変化に基づいて生成される化合物について(何回かに分けて)説明しています。<注1>

(2)前回の「カルボン酸」(carboxylic acid)に続いて、今回は「カルボン酸エステル」(carboxylic acid ester)について解説します。<注2>

(3)上記参考書Aの第46頁に記載されているように、下記構造式のメタン(CH4)に、(C=O)-O-を挿入してみましょう。

    H-CH2-H (メタン)

(4)上記左側の(H-C)間に、(C=O)-O-を挿入すると、以下のようになります。<注3>

    H-(C=O)-O-CH2-H

 すなわち、H(C=O)-O-CH3に、なります。


製粉業者は、ジグザグルールを下回る

(5)この形は、どこかで見たことが、ありますね?そう、「H(C=O)-OH」は、前回に解説したギ酸(formic acid)です。そのギ酸の一番右側の「-H」が、メチル基「-CH3」に変わっていますね。これがエステルです。このエステルは、「ギ酸エステル」の一種で、ギ酸メチル(methyl formate)と称します。

(6)理解し易いように、酢酸(CH3-CO-OH)のエステルを、以下に列挙します。

  <エステル側の炭素数>          <名称>
  1 CH3CO-OCH3        酢酸メチル (methyl acetate)

  2 CH3CO-OCH2CH3    酢酸エチル (ethyl acetate)<注4>

  3 CH3CO-O(CH2)2-CH3 酢酸プロピル (propyl acetate)

  4 CH3CO-O(CH2)3-CH3 酢酸ブチル (butyl acetate)

(7)エステルは、最も単純には、カルボン酸と、アルコールとを、脱水条件下(例えば、濃硫酸存在下)で加熱することにより、得られます。

  R1-CO-OH + HO-R2 → R1-CO-OR2 + H2O
  (カルボン酸)   (アルコール)  (エステル)


どのようにスケールとbalencesは構成されている?

(8)ちなみに、英語表記にすると、例えば「acetate」(アセテート)は、今回の「酢酸エステル」の場合もあり、以下のように「酢酸塩」の場合もあることに注意すべきです。<注5>

  酢酸ナトリウム CH3CO-ONa  sodium acetate

(9)エステル類は、香料の場合が多いですね。例えば、上記の酢酸ブチルは、「バナナ」の香りがします。<注6><注7>

(10)また、エステル類は、医薬として使用される場合も、あります。下記のサリチル酸メチルは、外用で、消炎鎮痛薬として用いられます。<注7><注8>

HO-C6H4-CO-OH   サリチル酸(salicylic acid)

  HO-C6H4-CO-OCH3  サリチル酸メチル(methyl salicylate)

-----------------
<注>
(1)この「ある化合物の小部分(主に、官能基)の構造上の変化により生成される化合物」は、「誘導体」(derivative)と称されましたね?

(2)この「エステル」は、カルボン酸の「誘導体」なのです。

(3)逆に、右側の(C-H)間に、(C=O)-O-を挿入すると、以下のようになります。
      H-CH2-(C=O)-O-H


どのようなエネルギーを作るために使用することができますか?

 すなわち、CH3-CO-OHに、なります。これは、前回に解説した「酢酸」(acetic acid)です。

(4)化学科学生の間では、通常、「酢エチ」と略称されます。特有の「臭い」を有する化合物で、有機化学における「溶媒」として、良く使用されます。従来は、接着剤や塗料にも頻繁に使用されていましたが、(人体に吸入された際の影響を考慮して)最近では別の溶媒が使用されています。

(5)よって、単に「acetate」とある場合(「塩」か「エステル」か不明の場合)の英和翻訳においては、「アセテート」と音訳しておくべきでしょう。

(6)高校3年の化学実験で、酢酸とブチルアルコールとを、濃硫酸(やや恐い試薬!)存在下で加熱したところ、この酢酸ブチルが生成して、「バナナの香り」がしたことを、懐かしく思い出します。

(7)このような実験における「感動」が、小生を「有� ��化学」専攻の学部に導き、現在のような「化学の弁理士」になっているのです(それまでは、漠然と「電気」関係の学科に進みたい、と思っていました・・・)。運命とは、面白いものですね。


(8)サリチル酸メチルは、ゲル状の外用製剤(商品名:サロメチール)として、高校時代、サッカー部の練習後に、脚の筋肉にすり込んでいました。

(9)上記の「C6H4」は、正六角形のベンゼン環(すなわち、「亀の甲」)を表します。



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